1か月健診でよく聞かれること、第3回は、臍肉芽種(さいにくげしゅ)。いわゆる「おへそのじゅくじゅく」です。
臍肉芽種
赤ちゃんが生まれたら、お母さんとつながっていたへその緒を切りますね。生まれてすぐの時は、出血が止まるまでしばらくクリップで挟んでいたと思います。
退院した時はまだ取れていなかったへその緒は、数週間でどんどん乾燥して、ある日ポロッと取れます。おむつを替えようと思ったら取れていた、ということが多いのではないでしょうか。
通常は、とれたへその緒の根元はそのまま乾いておしまいです。
でもときどき、根元にへその緒の名残りが残っていて、こすれて血や汁が出たりしてじゅくじゅくすることがあります。この根元に残った赤っぽいきのこのような出っぱりを臍肉芽種と言います。
痛くもかゆくもないので、慌てることはありませんが、1か月健診の時に、もし根本がしばれそうだったら糸でしばります。しばれそうな形をしてなかったら、ステロイドの軟膏を塗って様子を見ます。
以前は硝酸銀という薬で「焼いて」いましたが、最近はこの薬も手に入らなくなり、行っている施設は少ないように思います。
通常は1週間くらいでしばったところがぽろっと取れたり、出っぱっていたところがだんだん小さくなってきて乾いたらおしまいです。
治りにくい場合は、臍ポリープや尿膜管遺残という別のものの場合があり、その場合には手術が必要になることもあるので、病院に相談してください。
臍ヘルニア
おへそつながりでもうひとつ。臍ヘルニア、いわゆる「出べそ」もよく聞かれます。
へその緒が取れてしばらくしてから、おへそがぽこんとふくれてくることがあります。臍ヘルニアです。
3−4か月にかけてどんどん大きくなっていくことがあります。ですが、その後自然に小さくなり、6か月ごろまでに90%、1歳までに95%は自然治癒すると言われています。
また、同じヘルニアとして有名な「そけいヘルニア」と違って、嵌頓(かんとん、腸の一部がヘルニア門にはまり込んで戻らなくなってしまうこと)することはまれです。
なので、おへそが出ていてもそのままほおっておいて大丈夫なのですが、あまり大きく出ている場合(私は目安として巨峰とかたこ焼きくらい、と説明しています)、伸びてしまった皮膚はもとに戻らないので、綿球と絆創膏で圧迫固定した方が治りがきれい、と言う説もあります。
人のおへそを観察する機会はあまりないかもしれないですが、1か月健診でいろんな赤ちゃんを見ていると、おへその形ってかなり個性が大きいですね。
余談ですが、小児外科の先生は、子どものお腹の手術をするとき、おへその皺に沿って切開をして、傷あとができるだけ目立たないようにしてくれます。ありがたいですね。
<参考>
日本小児科学会 臍ヘルニア http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/heso-helnia
日本小児科学会 尿膜管遺残 http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/saien
周産期医学2019年49巻増刊号 周産期相談310お母さんへの回答マニュアル
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