子どもの便秘症

子どもの病気

子どもの便秘も、お母さんたちがよく心配になることのひとつです。

便秘の原因、診断、対応についてまとめてみたいと思います。

『小児慢性機能性便秘症ガイドライン』

https://www.jspghan.org/constipation/files/guideline.pdf

便秘とは?

便秘とはどのような状態を指すのでしょうか。

ガイドラインには、「便が滞った、または便がでにくい状態」と書かれています。

「便が滞る」とは、うんちの回数や量が減るということ。

「便がでにくい」とは、うんちをするのに頑張らないといけなかったり、痛みで泣いたり、いきんでも出なかったりすること。

そのまんまやん、という気もしますが、排便の習慣は人それぞれ。何日くらい出なければ便秘、と一概に決められるものではありません。

あくまでも、その人(子)がつらいかどうか、です。

「便秘」というのはその「状態」を表す言葉ですが、これが「便秘症」となると、便秘によってお腹が痛い、お腹が張る、不快である、排便時の痛みや出血がある、などの「病気」となります。

排便は1日何回が普通?

排便回数は個人差もありますし、子どもの年齢によっても違ってきます。

生まれたばかりの新生児では、1日の排便回数は平均4回と言われており、とくに母乳栄養の場合は哺乳のたびにうんちをする赤ちゃんも珍しくありません。

2歳までに排便回数は1日1−2回に減少し、3−4歳で1日1回程度になると言われます。

また、便秘になりやすい時期もわかっています。

  • 離乳食の開始時期
  • トイレトレーニングの時期
  • 学校に通い始める時期

この時期は特に気をつけて様子を見てあげた方がよさそうですね。

便秘の悪循環

慢性の便秘では、腸に貯まった太くて硬い便を出すときに痛みや出血をしてしまうことがあります。

そうなると、子どもは排便を我慢するようになり、ますます腸に便が貯まる時間が長くなって、水分がますます吸収されてさらに便が硬くなります。

するとますます排便がつらくなる、という悪循環にはまります。

なので、この悪循環を断ち切って、スムーズに排便ができる習慣をつけてあげることがまずは一番大事なことになります。

診断基準

国際的に使用されている小児慢性機能性便秘症の診断基準は以下のとおりです。上の段が新生児、乳児。下の段が小児の基準です。

ただし、実際の日常診療においてはこの基準を満たす必要はなく、項目に挙げられているような症状がある場合は便秘症と診断されています。

『小児慢性機能性便秘症ガイドライン』より

これとは別に、便秘の原因になる病気がある場合もあるので、まずはそのような病気がないかを病院でしっかり判断することが大切です。

治療

治療の1番の目標は、「便秘でない状態」を作ること

そのためには、まず貯まった便のかたまりをしっかり出して、その後も便秘でない状態を保つ維持療法を行います。

便のかたまりを出すために、浣腸や内服薬(下剤)を使います。

そして、維持療法として以下のことを行います。

  • 生活・排便習慣の見直し
  • 食事療法
  • 必要な場合に薬物治療

生活・排便習慣の改善

うんちのもとである、水分、食物繊維をしっかり摂ります。

便意を感じたときは我慢せずにトイレに行くようにします。

余裕のある時間帯にトイレに座る習慣をつけます。

トイレトレーニングが苦痛だったり、前に排便時に痛みや出血があった記憶があって嫌になっている場合もあるので、強制はしないで、シールなどで楽しい雰囲気を作りながら、余裕を持って進めていくといいかもしれません。

食事療法

水分は、脱水になっていない人があえてたくさん摂ることに便秘改善のエビデンスはなく、普通に摂っていればよさそうです。

乳酸菌などのプロバイオティクスが有効な場合もあります。

食物繊維を多く摂ることは、有効であるという報告もあり、試してみる価値はありそうです。

薬物治療

それでもつらい便秘が続くようなら、お薬での治療もありますので、小児科に相談してみてください。便秘で小児科に相談に来るお子さんもけっこう多いですよ。

下剤を長期間使うことで、「くせになるんじゃないか」(同じ量では効かなくなる、やめられなくなる、など)と心配されるお母さんも多いと思いますが、ガイドライン上は、そのような証拠はないとされています。

それよりも、排便時の痛みによって排便を我慢してしまう悪循環で、便秘が悪化してしまうことの方が問題です。

痛みなどの苦痛がなく排便する習慣をつけてあげましょう。

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